戦場で軍人は何を思う・・・
戦争を美化する話は、何も出てこない。
やっていることは殺し合い。人を殺せば重罪になるのは古今東西同じロジック。
唯一戦争だけが、専制者の命令によって人を殺すことを是とされる。
普通に考えて狂っている。
こういう異常な状況化で、戦場の軍人は何を思うのであろうか?
軍人ではないので、勝手な想像をする。
基本的に軍人は戦争をしたくない人たちだと思う。万が一の際には自らの危険を顧みず事に当たる人たちである。
命令が下れば、それこそ命をかけて対処する。結果、人を殺すこともある。逆に自ら、部下の命も危険にさらされる。天塩にかけて、訓練をして同じ釜の飯を食った仲間、特に部下を死の危険にさらすのである。そして、残念ながら死傷者ゼロという結果になることはない。
そんな立場の軍人たちで最前線の指揮官として従軍した二人の提督の手記を読んだ。
草鹿任一 「ラバウル戦線異状なし」
この二人の提督は従弟同士。
立場を異なれど、必死で前線を守り抜いたことは事実。
草鹿龍之介提督は、真珠湾奇襲から始まる一連の日本海軍機動部隊の作戦責任者である。大敗北となったミッドウェー海戦でも指揮を執っている。
書いてある内容は本人談だから、信じるしかないが、ともかく日々迫りくる戦闘に直面して、判断の結果を顧みる余裕もなく次の戦闘、判断を迫られるという現場感がつたわってくる。
戦争の善悪や、人の命という平和時に語られる感情論を考えている余裕はなかったであろう。
一方の草鹿任一提督(こちらの方が年長)はラバウルの現地指揮官を最後まで務めた。ラバウル航空隊の華々しい活躍は初期の話で、戦局が厳しくなると肝心の飛行機が中央に吸い上げられて、航空隊には飛行機がない状態が続いていく。
こうなると、現地の舞台は生きるための共同体と化し、それこそ食料自給までが任務となっていく。
中央の現場無視という体制を感じずにはいられないという所感を両方の本から感じた。
今のウクライナも独裁者がどこまで現場をわかっているのであろうか・・・。
政治家の判断は重い。