相手あっての成果

ウクライナ侵略戦争でのロシア軍の民間人への残虐行為が報じられている。

 

いくらロシア側が捏造だと否定したところで、民間施設を無差別に破壊している事実は映像として世界を駆け巡っている中で、戦争犯罪が行われたことは疑いがないと考えてよいだろう。

 

この戦争からわかることは、ロシア軍は軍規が出鱈目、つまり統率が取れていない組織であるということ。軍規の重要性はこういう実戦の場でいかに規律が維持できるかという普段の組織作りから始まっている。

 

軍法会議という裁判制度は、日本ではあまり良いイメージがないが、本来、軍規は軍隊内部の法律を維持するためにある制度。ロシア軍が、軍法会議をもっていないことはあり得ないので、機能していないことがわかる。(もし、民間人への無差別殺傷がロシア軍規で認められていれば話は別だが・・・)。

 

尤も日本の自衛隊が軍隊になり得ないのは、軍法裁判を持たないという致命的な欠陥による。軍隊に似て非なる組織が自衛隊なのである。

 

さて、話をロシア軍の残虐行為に戻そう。アメリカはじめ、世界の主要国はロシア軍の非道を国際法違反と猛烈に非難している。

 

しかしながら、いくら非難しても、ロシアに対しては何の効力、強制力を持ち合わせない。もし、国際法違反で裁くことができるとすれば、ロシア政府が転覆するか、強制力をもって(つまり裁く組織の軍事力で)モスクワを陥落することができない限り、起訴することは現実的に不可能である。かつて日本の戦争指導者が極東軍事裁判で裁かれたように。

 

今回のロシアの侵略を見ていると、正に国際政治は力をもってしか制しえないということを実感する。プーチンもそのことを十分に理解しているから直接軍事行動に訴えたのであろう。逆を返せば、日本の抱える国際問題も「外交努力」で解決するはずがないのである。

 

企業も同じで、競争相手、あるいは顧客も、常識が通じる相手ばかりではないということを改めて認識する必要があると思う。もちろん、国内での契約行為あるいは法体系を共有できる国の企業とのトラブルには裁判所が強制力をもって法に照らした対応が行われる。

 

しかしながら、裁判で決着をつけるというのは最後の手段であって、(国でいうなら戦争するという最終手段)、やはり「戦争にならない」ビジネス関係を事前に考えて行動することの重要さを改めて感じた。